疎水相互作用の指標として用いられている化合物の分配係数log Pに関する実験および理論計算結果に基づき、疎水相互作用を考慮した薬物-受容体相互作用の理論モデル式を構築した。すなわち、抗真菌剤等のアゾール化合物-チトクロームP450間相互作用についての結合・阻害実験値とその定量的構造活性相関解析に基づき、アゾール化合物のlog Pと結合相互作用エネルギーとの対応評価を行い、両者の間に高精度の定量的相関を得た。 さらに、HIV-1プロテアーゼとその一連の阻害剤の活性値変動に関して、フラグメント型非経験的分子軌道法計算を用いて得られる各アミノ酸残基と阻害剤の相互作用エネルギーに上記の疎水相互作用エネルギー項を取り込んだ高精度の定量的相関式を構築した。この結果、阻害剤と特定アミノ酸残基との電子的相互作用および疎水相互作用エネルギーが全体の結合エネルギーを支配していること、薬物-タンパク質問の微小な電荷移動が結合エネルギーと良好な線形関係を持つことを明らかにした。 上記の研究結果を、疎水相互作用を取り込み、かつ非経験的分子軌道法計算に基づいた新しい定量的構造活性相関法とした発表した。
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