研究課題/領域番号 |
20590041
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
宮入 伸一 日本大学, 薬学部, 教授 (50209855)
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研究分担者 |
齋藤 弘明 日本大学, 薬学部, 助教 (30385976)
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キーワード | 緑膿菌 / クオラムセンシング / オートインデューサー / 蛍光標識化試薬 / 高速液体クロマトグラフィー / エラスターゼ / ピオシアニン / マクロライド系抗生物質 |
研究概要 |
前年度までに、グラム陰性菌のquorum-sensing(QS)機構における細胞間情報伝達物質であるN-3-oxoacyl L-homoserine lactoneの蛍光誘導体化HPLCよる一斉分析法およびfluorescence-resonance energy transfer(FRET)を測定原理とするelastase活性測定法を構築した。本年度は、代表的なグラム陰性菌である緑膿菌を対象に、これらアッセイ系のQS機構に作用する薬物の探索への適用を検討した。まず、緑膿菌の上位QS機構の鍵化合物である3-oxo-C_<12>-HSLの量的変動と下位QS機構により誘導される毒素であるelastaseの産生量との相関を検討した。培養開始11時間目の菌の指数増殖期の始まりとほぼ同時に3-oxo-Cl2-HSLの濃度も上昇が認められ、一方elastase活性の上昇には2時間以上のtime-lagが存在した。また、3-oxo-C_<12>-HSLは15時間目をピークに漸減し、24時間目にはピーク時の10%にまで低下した。これは、下位のQS機構の産物であるelastase活性の上昇が16時間目以降緩慢になったこととよく相関しており、3-oxo-C_<12>-HSLのピーク時が緑膿菌の毒素産生抑制を検討する上で最適であること示唆して。したがって、毒素産生抑制効果を評価する上で継続的な3-oxo-C_<12>-HSLの測定が不可欠であるとの結論を得た。次いで、緑膿菌感染症に有効との報告があるマクロライド系抗生物質であるazithromycinの作用点を検討したところ、上位QS機構の情報伝達物質である3-oxo-Cl2-HSLの合成阻害であることが物質レベルで確認された。以上、本研究において構築したアッセイ法はグラム陰性菌のQS機構解析に適しており、今後の新規抗菌剤の探索に有用であることが証明された。
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