本研究では、簡便な蛍光検出高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、3位にカルボニル基を有する炭素数6~14個の脂肪酸からなる3-oxo-acyl-HSLの高感度一斉分析法を構築するとともに、緑膿菌をモデルにQS機構解析への適用を検討した。緑膿菌QS機構の解析のため、QS機構により誘導合成されるエラスターゼの簡便な活性測定系も合わせ構築した。これらを用いて緑膿菌の増殖とAI分子の3-oxo-C12-HSL濃度およびエラスターゼ活性の相関を検討した。その結果、連関する2つのQS機構をもつ緑膿菌においては、上位のQS機構(Las系)は菌の増殖と直接的な関連が認められた。一方、下位のQS機構(Rhl系)の産物であるエラスターゼの産生は約2時間のtime-lagをもって開始されるが、その産生は上位のQS機構のAI分子濃度の低下と同調していたことから、上位のQS機構の制御下にあるようにも見受けられた。
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