研究課題/領域番号 |
20590049
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
前田 浩 崇城大学, 薬学部, 教授 (90004613)
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研究分担者 |
方 軍 崇城大学, 薬学部, 准教授 (20412736)
中村 秀明 崇城大学, 薬学部, 助手 (30435151)
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キーワード | XO阻害剤 / 徐放性 / DDS / 降圧剤 / 水可溶化 / NOの寿命延長 / ナノメディシン / PEG化医薬 |
研究概要 |
我々は体内で生ずるスーパーオキサイドアニオンラジカル(O_2^-)が感染、炎症、さらには虚血再環流時などでの生体組織傷害の重要な要因であり、そのO_2^-の多くはその産生酵素のキサンチンオキシダーゼ(XO)の誘導とその活性に起因することを明らかにしている。そこで、このXOの阻害剤を用いて医薬にする可能性を追及した。既にAHPP(4-アミノ-6-ヒドロキシピラゾロ-3,4-ピリミジン[AHPP])がXOの強力な阻害剤を見出しているが、この医薬品化における困難性はAHPPの水難溶性であることと、低分子であるために体外排泄が急速で、作用時間が短すぎ、これまた実用化のバリヤーであった。 これらの目的を解決するため、AHPPのPEG(ポリエチレングリコール)共有結合体(PEG-AHPP)あるいはスチレンマレイン酸コポリマー(SMA)を用いたSMAの非共有結合抱合ミセル体(SMA-AHPP)を作成した。その結果として(1)In vitroでのXO阻害活性はfreeのAHPPに比べ、PEG-AHPPおよびSMA-AHPPは80%程度あり、満足すべきものであった。(2)In vivoのXO阻害活性はラット肝の虚血再環流(I/R)モデルを用いて行ったところ、薬物非投与群に比べ、充分な細胞傷害作用の抑制をみた。(3)また、本態性高血圧ラット(SHR)を用いた試験では静脈内および経口投与の何れにおいても、平均正常血圧への降下作用を示した。(4)経口投与の場合でも、1回の投与でもその作用は24時間以上持続した。 今後は、とくにeNOSによるNO放出はAHPPによるXOの阻害によりO_2^-の産生が抑制され、NOの血管拡張作用が向上するので、AHPP-ArgのようなNO産生成分を含有する高分Fミセル化化合物を用いれば、よりAHPPの作用を増幅することが考えられる。
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