3型コラゲナーゼ(MMP13)は、骨・軟骨の基質であるコラーゲンを分解する酵素であり、本酵素の遺伝子欠損マウス(MMP13KO)では、コラーゲンの分解不全が起こる。本年度は、骨粗霧症における本酵素の役割解明を目的とし、骨粗霧症モデルを用いた解析を行なった。MMP13KOマウスに卵巣摘出を施し、骨粗霧症の発症の有無を調べた。まず、雌性のMMP13KOマウスと野生型マウスの大腿骨をDEX法、pQCT法、骨形態計測法により比較した。その結果、野生型マウスに比して、MMP13KOマウスは、DEXA法により計測される骨密度が有意に高値を示し、pQCT法の横断面解析では、海綿骨の蓄積が認められた。骨形態計測により骨の微細観察を行なった結果、MMP13KOマウスでは破骨細胞数の減少を示し、骨形成の促進が示唆された。次に、MMP13KOマウスおよび野生型マウスに卵巣摘出あるいは偽手術を施し、術後4週にて大腿骨を採取し、骨粗霧症の発症の有無を解析した。その結果、野生型マウスでは、卵巣摘出による女性ホルモン低下により、顕著な骨吸収亢進が観察され、術後4週において、有意な骨密度低下を示した。その骨では、MMP13発現が亢進しており、本酵素が骨吸収亢進に寄与していることが示唆された。一方、MMP13KOマウスでは、卵巣摘出により軽微な骨量低下が認められるものの、顕著な骨密度低下は認められなかった。MMP131(0マウスに卵巣摘出を施すと、エストロゲンが欠乏してもコラーゲン分解が抑制されており、骨吸収亢進を阻止していることが示された。本研究により閉経後骨粗鬆症の発症において、MMP13に依存したコラーゲン分解とマトリックス破壊が密接に関与することが明らかとなった。
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