研究概要 |
これまで、我々は、種々の細胞において、三量体G蛋白質によるRhoファミリーG蛋白質の活性化機構の存在を示してきた。この機構解明には三量体G蛋白質シグナルによるRhoファミリーG蛋白質に特異的なGTP-GDP交換反応促進因子(RhoGEF)の活性化機構の解明が重要であると考え、本研究ではかずさDNA研究所のデータベースにあるRhoGEFの遺伝子クローン中、三量体G蛋白質βγサブユニットにより活性化されるRhoGEF分子として同定したFLJ00018も含めたいくつかのRhoGEF分子の細胞内機能を明らかにすることを目的としている。本年度は特に、FLJ00018のもつPDZ結合ドメインに着目し、PDZドメイン含有蛋白質のひとつであるPSD-95が、FLJ00018によるSRE活性を抑制することが認められた。このことからある種のPDZドメイン含有蛋白質がFLJ00018の機能を抑制することが示唆された。また、過去、FLJ00018の膜との相互作用に関わるとされるPHドメインが、PIP(4,5)2などのある種のリン脂質と結合することを見出していることから、本年度はさらに、これらに関わるリン脂質代謝関連酵素がFLJ00018の機能にどのような影響を与えるかについて検討を行った。その結果、ホスホリパーゼD2(PLD2)との共発現により、FLJ00018のSRE活性が抑制されることを見出した。このことから、PLD2あるいはPLD2により産生されるホスファチジン酸により、FLJ00018の機能が抑制されることが示唆された。現在、引き続き他のPDZ含有蛋白質についても検討を行っている。今後、細胞形態制御機構に関わるこれらのRhoGEF分子の活性制御機構の検討により、がんや神経形成にかかわる病態の発症機構の解明の一端を担えるものと考えられる。
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