研究概要 |
本研究では、研究代表者が独自に発見したDRH-3タンパク質と相互作用する線虫タンパク質の同定や生化学的性状解析を通じて、新たな染色体安定化に関わるRNA干渉機構の解明を目指した。 本年度の研究から得られた成果は以下の通りである。 (1)線虫RNA干渉因子(22種)について、それらのcDNAクローニングを行い、酵母two-hybrid用コンストラクトを構築して、タンパク質間相互作用解析を行った結果、DRH-3と相互作用する新規タンパク質(E1)を初めて同定することに成功した。cDNAサイズが大きいため、完全長cDNAのクローニングができていなかった3遺伝子(dcr-1,rrf-3,ego-1)についても、RT-PCRにより欠失断片の増幅と完全長cDNAの構築に成功した。 (2)生化学的解析に必要なタグ融合DRH-3タンパク質の大腸菌発現系と精製条件を確立し、部分精製を行うとともに、予測機能ドメインに関する3種類の変異体タンパク質の発現コンストラクトを構築した。 (3)DRH-3タンパク質の細胞内挙動を調べる目的で、培養細胞でのタンパク質発現解析を行い、GFP融合DRH-3タンパク質が細胞内の一部領域に局在することを初めて明らかにした。 以上の知見は、DRH-3タンパク質がE1タンパク質と相互作用して機能すること、およびDRH-3が細胞内の限られたドメインで機能することを示唆しており、今後、DRH-3タンパク質の分子機能を解明する上で重要な手がかりになると考えられる。
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