抗原生成小胞体アミノペプチダーゼ(A-LAP/ERAP-1およびL-RAP/ERAP-2)ならびにLaeverin/APQの酵素触媒作用の発現機構についてさらに詳細な解析を行った。これまでの解析の結果、ヒトA-LAP/ERAP-1のGln-181残基がS1ポケット内に存在しており、本酵素の基質特異性に関与していることを明らかにしている。そこで、ヒトLaeverin/APQについても、一次構造上、同一位置に存在するGln-238残基がその基質特異性に関与しているかどうかを、部位特異的変異導入法によって作製した変異体酵素を利用して解析した。その結果、Laeverin/APQのGln-238をAlaに置換した変異体(Q238A)では、中性アミノ酸遊離活性の消失、塩基性アミノ酸遊離活性の増大が認められ、その基質特異性は野生型酵素と比較して大きく変化していた。また、拮抗型アミノペプチダーゼ阻害剤であるベスタチンの感受性はQ238A変異体では大きく低下していたことから、Laeverin/APQのGln-238残基が本酵素の基質特異性に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 A-LAP/ERAP-1の小胞体内腔での貯留ならびに抗原ペプチドトリミング作用に重要な役割を果たすタンパク質分子(複合体)の存在が示唆されたことから、本分子の探索用細胞株の樹立を行った。 A-LAP/ERAP-1のC末端にx3 FLAGタグを付加したA-LAP/ERAP-1-FLAG発現ベクターを構築し、これをHeLa S3細胞に安定的に導入した。ベクターに挿入した薬剤選択マーカーBlasticidin S耐性を指標にコロニーを取得し、A-LAP/ERAP-1-FLAGを構成的に発現する細胞株A-LAP-FLAG/HeLaを得た。今後、共免疫沈降法による複合体構成因子の同定を行う予定である。
|