研究概要 |
DNA損傷はがん細胞選択的な細胞死を引き起こす。この機構として、がん細胞では癌抑制経路の異常によりDNA損傷が生じても細胞周期は進行し、G2チェックポイントを乗り越えM期に侵入した結果、分裂死を引き起こすと考えられる。しかし、M期において細胞死に至る分子メカニズムは不明である。本研究は、DNA損傷を受けたがん細胞がM期に進入後に分裂死に至るメカニズムの解明を第一の目的とした。 昨年度はヒト全遺伝子に対するshRNA発現レンチウイルスライブラリーをHeLa細胞に感染させ、monastrol耐性のコロニーを数十クローン得ることができた。そこで今年度はmonastrol耐性のコロニーからshRNAのクローニングを行った。各コロニーを24穴プレートに植え継ぎ、増殖した細胞からゲノムDNAを調製した。レンチウイルスベクターにおいてshRNA領域を増幅可能な共通配列をプライマーとして,各クローン由来のゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、増幅されたDNA断片をpGEM-Tプラスミドにサブクローニングした。各クローンに由来するプラスミドDNAを8クローンずつ調製し、塩基配列を決定した。得られた塩基配列をデータベースで検索し,独立した配列として12遺伝子を同定した。 これら12種類のshRNAそれぞれが本当にmonastrol誘導性細胞死を抑制するかを明らかにする目的で,得られた塩基配列をもとにオリゴDNAを合成し、レンチウイルスベクターに組み込むことによって12種類のshRNA発現レンチウイルスベクターを構築した。
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