研究概要 |
恒常的なIL-1αの産生機構:我々は、 IL-1αを構成的に産生しているヒトメラノーマ細胞株A375-R8と非産生性株A375-6を用いて解析した結果、 IL-1αの転写にはIL-1α遺伝子のプロモーター部分のGC rich部位に転写因子sp1が結合すること、その抑制にヒストン・デアセチラーゼHDAC1が働いていることを明らかにしている。今年度検討した結果、 HDAC1の活性は非産生株が強く、 Sp1の活性は産生株が強かった。 HDAC1の過剰発現は産生株におけるIL-1αのプロモーター活性やIL-1αの産生を抑制し、HDAC阻害剤は非産生株からのIL-1αの産生を誘導した。しかし、両細胞間で、Sp1の発現量、Sp1とHDAC1との結合量に差は見られなかった。 性ホルモンによるIL-1の作用調節:ヒト関節リウマチ患者由来細胞株MH7Aを用い、男性ホルモンDHTのIL-1α, TNFα刺激による炎症性サイトカインの産生誘導に及ぼす影響を調べたところ、 DHTはアンドロジエン受容体依存的にIL-1β, IL-6, IL-8の産生を抑制した。さらに、 IL-8の抑制にはNF-κBの抑制が重要であった。 化学物質によるIL-1の発現制御:タバコの煙抽出物CSCは、主流煙、副流煙共に、ヒト関節リウマチ患者由来細胞株MH7Aからの炎症性サイトカイン、IL-1α, IL-1β, IL-6, IL-8のmRNA,タンパクの発現を誘導した。また、 CSC主流煙を抗原と共にマウスに投与すると、コラーゲン誘導性関節炎の発症や悪性度が増強され、喫煙と関節リウマチの関連を実験的に示唆することが出来た。
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