1. IL-1のヒトメラノーマ細胞増殖抑制機構 IL-1で増殖が抑制されるヒトメラノーマ細胞株A375-6において、IL-1刺激によりp21のタンパク質発現が増強される機構として、p21タンパク質の安定性が増すこと、その原因として、ユビキチン非依存性の経路でプロテアゾームを介する分解が抑制されること、p21の145番目のスレオニンと146番目のセリンが重要であること、以上のことはERK1/2の活性化を介していることなどが明らかになった。 2.性ホルモンによるIL-1の作用調節 慢性関節リウマチ患者由来線維芽細胞様滑膜細胞株MH7A細胞において、IL-1やTNF刺激により増強されるIL-8のmRNAや蛋白の発現が5α-ジヒドロテストステロン(DHT)により抑制された。さらに、IL-8遺伝子プロモーターのレポータープラスミドを用いた結果、NF-κB結合部位が重要であること、NF-κBの活性化がアンドロジェンレセプター(AR)依存的にDHTにより抑制されること、プライマリー滑膜細胞内のARの発現量には差があることから、DHTの効果発現には滑膜細胞内のAR発現量が重要であることが明らかになった。 3.化学物質によるIL-1の発現制御 動物実験:主流煙をコラーゲンとともにDBA1/Jマウスに投与すると、コラーゲン誘導性関節炎の発症が用量依存的に増強された。同様な増強作用は副流煙でも認められた。さらに、主流煙と副流煙をコラーゲンで免疫する1日前に腹腔内投与した場合でも関節炎発症の増強効果が認められた。 滑膜細胞を用いての解析:MH7A細胞やRA患者由来線維芽細胞様滑膜細胞をタバコの煙抽出物で刺激したところ、IL-1β mRNAが誘導され、NF-κBの活性化能も高かった。しかし、肺上皮細胞株肺胞上皮癌株A549、肺線維芽細胞株MRC5、変形性関節症患者由来線維芽細胞様滑膜細胞ではIL-1β mRNAの誘導はほとんど認められなかった。
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