研究課題/領域番号 |
20590069
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
園田 よし子 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (30050743)
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研究分担者 |
笠原 忠 慶應義塾大学, 薬学部, 教授 (60049096)
多胡 めぐみ 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (30445192)
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キーワード | PLP2 / FAK / melanoma / B16F10 / B16BL-6 / metastasis |
研究概要 |
がんにおける転移機構解明は重要な問題である。我々は接着斑キナーゼFAKの925のチロシンをフェニルアラニンに変異させたFAK(925FAK)を過剰発現させたメラノーマ細胞は、C57BL/6Nマウスを用いた実験的肺転移モデルにおいて、転移能が大きく低下することを見いだした。次にこの細胞とカラベクター細胞との遺伝子発現の違いを調べたところ、925FAK細胞でproteolipid protein 2(PLP2)の発現が低下していることを見いだした。これらの結果よりPLP2の転移における機能解析を計画した。すなわち、PLP2を過剰発現させたマウスメラノーマ細胞(B16-F10)を作成し、尾静脈注入による実験的肺転移モデルにおいて転移を上昇させるか調べた。その結果、肺転移を大きく上昇させた。さらに自然転移実験に用いられるメラノーマ細胞であるB16-BL6を用い、PLP2のメラノーマ自然転移に及ぼす影響を調べた。その結果、PLP2過剰発現メラノーマ細胞は、膝下リンパ節への転移が大きく上昇した。これらの結果はPLP2の転移促進因子としての可能性を示唆している。今回はさらにPLP2の機能を解析するため、(1)PLP2のsiRNA発現ベクターを作製し、B16-BL6メラノーマ細胞にトランスフェクトしPLP2発現が抑制されたメラノーマ細胞を作製した。(2)PLP2発現が抑制されたメラノーマ細胞をマウス足踵に注入し、自然転移に及ぼす影響を調べた。その結果、コントロールに比べ、PLP2発現が抑制されたメラノーマ細胞は、膝下リンパ節への転移が有意に減少した。 (3)PLP2発現が抑制されたメラノーマ細胞のin vitroにおける性質を調べたところ、転移に関連する接着性、浸潤性、運動性がコントロールに比べ低下していた。
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