リポポリサッカライド(LPS)のエンドトキシン活性を担うlipid A部位の認識に宿主受容体因子であるToll-like receptor 4 (TLR4)とMD-2が関わることが示されている。一方、病原細菌が宿主環境に適応する過程でlipid Aは細菌の酵素により修飾されて構造が変化する。この修飾型lipid Aのエンドトキシン活性の解析から修飾型lipid Aの認識に関わる新規宿主受容体因子の存在が示唆された。この新規因子を同定することにより、エンドトキシン認識の詳細を明らかにすると同時に、病原細菌が行うlipid A修飾の感染における役割の解明を目指す。 この研究目的を達成するため本年度はサルモネラのlipid A部位合成・修飾変異株を作成しlipid A部位の脂肪酸鎖数が6あるいは7本、6本、5本、そして5あるいは4本になる変異株を作成した。この脂肪酸数を認識する因子がMD-2であるのか、あるいはそれ以外の因子が細胞内外に存在するのか、を調べるための実験材料が調製できた。さらにダニのアレルゲンであるDerP2がMD-2の代わりにTLR4と結合してlipid A部位の認識およびシンシグナル伝達に関与するとの報告がされた。そこでダニアレルゲンのエンドトキシン認識を測定できる簡便な実験系を作成中である。
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