平成21年度において、以下の目標をほぼ達成することができた。 1.野生型および遺伝子改変型マウス(ビタミンD受容体欠損:VDRKOおよびビタミンD活性化酵素遺伝子欠損:1αOHaseKO)マウスでは、通常の飼育状態においては動脈の石灰化が起こっていないことを確認した。また、これらのマウスより血管平滑筋細胞を培養する系を確立した。 さらに、現在、VDRと1αOHaseの両方が欠損したダブルノックアウトを作出し、血管の状態の評価解析を行っている。 2.マウス血管において、Matrix gla protein(MGP)の活性化を担うビタミンKのうちメナキノン-4(MK-4)が比較的高濃度に存在し、他のビタミンK同族体から血管においてもMK-4が生合成されることを明らかにした。また、このMK-4の生合成が血管平滑筋細胞でも起こることを明らかにした。 3.マウスMGPを定量するための測定系を構築するため、まずヒトMGPの非グラ化MGPを測定する方法を確立した。この手法を応用して、新たにリコンビナントマウスMGPの精製を行い、抗体の作製を行った。これを用いてELISAの測定系構築を開始した。 4.血管石灰化を持つ疾患患者におけるビタミンDおよびビタミンK栄養状態と血管石灰化重篤性との相関性を解析するため、疾患患者の血中ビタミンDおよびビタミンK濃度の測定を行った。
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