研究概要 |
平成22年度において、以下の研究成果を得ることができた。 1. 天然に存在するビタミンK同族体はいずれも、哺乳類体内において側鎖にゲラニルゲラニル基を有するmenaquinone-4(MK-4)へ代謝されて組織に蓄積することが明らかになった。 2. ビタミンKは、動脈硬化予防因子matrix gla protein(MGP)の活性化(グラ化)に関与するγ-グルタミルカルボキシラーゼ(GGCX)の補因子として働くが、その補因子活性はビタミンK同族体の中でMK-4が最も強いことが明らかとなった。1,2の結果から、MK-4がビタミンKの活性本体であることが推測された。 3. ヒトゲノムデータベースサーチにより、大腸菌menAのヒトホモログであるUBIAD1がMK-4生合成酵素であることを突き止め、昆虫細胞Sf9を用いた発現系で生合成酵素であることを最終的に確認した。我々のこの結果は、、英国科学誌NATUREに掲載された。 4. UBIAD1と動脈硬化の関係を明らかにするため、UBIAD1遺伝子破壊を目的としたFloxedマウスの作出のためのターゲティングベクターを構築した。その後、遺伝子導入されたES細胞のスクリーニングを続けている。 5. リコンビナントラットMGPを精製し、これを用いてマウスハイブリドーマの系で数種のMGPに対する特異抗体の取得に成功した。ラット血中MGPの簡易ELISA定量法を開発した。
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