研究課題/領域番号 |
20590086
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
小野 秀樹 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (00080200)
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研究分担者 |
田辺 光男 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 准教授 (20360026)
山本 昇平 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 助教 (90433226)
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キーワード | 脊髄損傷 / 運動機能評価 / 電気生理学的機能評価 / 脊髄反射 / セロトニン / 神経再生 |
研究概要 |
本邦の脊髄損傷の患者は10万人以上にのぼるが、有効な薬物はなく、受傷直後にステロイド大量療法が行われるがさほど有効ではない。そこで、本研究では、脊髄損傷を神経機能のレベルで評価できる系を確立し、薬物の薬効評価を行うことを目的としている。脊髄損傷のモデル動物を用いて、行動評価の他に、神経誘発電位を指標として、脊髄内の神経回路、上行性・下行性の神経連絡の回復を測定できる系の開発を目指した。 1)ラットの脊髄背面に重りを落下して作製した脊髄損傷モデルにおいて、損傷後、経日的にラットを麻酔・脊髄を露出し、単シナプス反射電位を記録し、脊髄内抑制の強度についても研究した。損傷によりシナプス前抑制が増強しており、この増強はセロトニン前駆物質の投与により減弱したことから、下行性セロトニン神経のシナプス前抑制への抑制が、脊髄損傷により低下することが示唆された。 2)損傷ラットの重度と軽度のモデルにおいて、重度のものほど脊髄セロトニン含量の低下が見られた。また重度のモデルほど、選択的セロトニン取り込み阻害薬による単シナプス反射抑制が大きく、重傷度、セロトニン含量、抑制作用に相関が見られた。 3)マウスのモデルにおいてPPAR-γアゴニストが、機械的痛覚過敏の発症を完全に抑制した。さらに、損傷28日後に投与したギャバペンチンとプレギャバリンは神経因性疼痛を緩解した。
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