【新薬開発データベースの作成・拡大】複数のデータソースから得られた臨床試験の情報を統合しデータベース(20年度作成)の情報を更新した。日本については引き続き承認審査当局である医薬品医療機器総合機構の公開新薬データベースから非臨床・臨床研究開発に関する所要の情報を収集した。米国については、米国臨床試験情報データベース、FDAの公表情報資料から同様の情報を収集することによりデータベース情報を拡充した。さらに、商用データベースでも情報を収集し、国内外における開発品目数の経時推移、オリジネータ企業特性、開発相ごとの成功確率、開発期間、審査期間に関する情報を蓄積した。 【日米欧における臨床開発ラグ】欧米における臨床開発中の品目数は増加を続ける一方、日本では増加傾向は見られなかった。また、日米両地域で臨床開発中の品目の割合は、増加傾向が見られた。日米間でともに開発されている品目を対象に開発段階の進度を比較したところ、全体として米国の方が進んだ開発段階にあった。日米差は1995年から2001年まで拡大し、2002年以降は横ばいであった。新GCP施行(1997年)前後では開発段階の日米差は拡大する傾向(日本が米国に遅れる)にあり、ICH-E5施行(1998年)後数年を経て外国臨床データの利用が促進し、その拡大傾向は収束したが、一定の遅れが続いている状況と考えた。開発品目のオリジネータ―国籍別に開発段階の差を算出した結果から、1995年から2001年の日米間の開発段階差の拡大は、日本オリジン品目のリードがなくなったことが原因だと考えた。また、日本の第II相試験着手が遅いほど、日本第II相試験期間か短いという結果が得られた。ドラッグラグ、日本における治験の空洞化が社会問題化している中、それらに対する施策には、研究で明らかになった企業行動の特徴をあらかじめ織り込む必要があることが示唆された。
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