研究概要 |
本研究は,細胞増殖機能調節に関わっているプロテインキナーゼーC(PKC)やチロシンキナーゼ (PTK)を阻害して,腫瘍細胞増殖を阻害する抗腫瘍薬開発を目的に行う研究である。特に,フラビンやデアザフラビン類をシーズとする化合物に関して,in vitro酵素阻害(又は抗腫瘍)活性データとコンピューターを駆使した酵素へのドッキングデータよりバーチャルスクリーニング系の構築を行い,この系より得られた活性情報を基にデザインした新たな活性有効化合物のみを合成し,その合成化合物のin vitroでの癌細胞への阻害活性試験およびin vivoでの抗腫瘍活性動物試験を行うものである。 今年度は,flavin,5-deazaflavinとflavin-5-oxide類の類縁体をタンパク質tyrosine kinase pp60c-srcの結合サイトヘドッキングさせ,それらの抗腫瘍活性およびPKC阻止活性を評価した。その結果,Flavinあるいは5-deazaflavin骨格の2位にアミノあるいはフェニルが置換した化合物がPKCやPTKへの高い結合親和性を持つことを構造活性相関より明らかにした。また,種々の新規な5-amino-2-deoxo-2-pheny1-5-deazaflavin類を5-deazaflavin類とN-alky1あるいはary1amine類との直接のカプリングによって合成した。そして,人腫瘍細胞CCRF-HSB-とKB細胞に対する抗腫瘍活性をin vitro実験で調査した結果,多くの化合物が有望な抗腫瘍活性を示した。更に,これらの活性構造最適化のためにPTKへの分子ドッキング研究を行った結果,これらは生物活性およびin sillico研究より,低い結合自由エネルギー及び潜在性の抗腫瘍活性をもった低細胞毒性の化合物であることを明らかにした。
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