フェノール性水酸基の保護基にt-butyldimethylsilyl (TBS)基を用いるカテキン誘導体の合成により、3位に飽和および不飽和脂肪酸を有する3-アシルカテキンおよび3-アシルエピカテキン誘導体24種類をグラムスケールで合成することに成功した。これらのDNAポリメラーゼ阻害剤活性を検討したところ、3-アシルカテキン誘導体の活性が3-アシルエピカテキン誘導体に比べて高いこと、脂肪酸側鎖の鎖長が長く、不飽和結合が導入される程活性が高くなることが明らかとなった。さらに、DNAポリメラーゼ阻害剤の抗ガン作用について放射線との併用効果を、活性の強かった「カテキン+ステアリン酸(C-C18:0)」および「カテキン+α-リノレン酸(C-C18:3)」を用いた検討を始めた(神戸学院大学の水品善之准教授およびNIHのWilliam G.Thilly教授のグループとの共同研究)。また、合成した3-アシルカテキン誘導体においては、アポトーシスを誘導する活性も確認され、飽和脂肪酸の鎖長と活性との関係を検討した(Chemico-Biological Interactionsの論文)。 今後、茶成分の代謝物とされるγ-butyrolactone類の合成法(Synthesisの論文)をもとに、光学活性体8種の合成を進めており、茶成分とされるカテキン類と代謝物とのDNAポリメラーゼ阻害剤活性を比較しながら構造活性相関の精査を進める予定である。
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