DNAポリメラーゼ阻害活性を有するカテキン類として、3-アシルカテキンおよび3-アシルエピカテキン誘導体とプロシアニジンオリゴマーの純粋品を化学合成し、種々の生理活性を探索するとともに、そのDNAポリメラーゼ阻害活性と構造-活性相関を検討した。化学合成においては、従来カテキン誘導体の合成に使用されていたベンジル保護基ではなく、シリル型保護基を用いることによって、実験室においても数十グラムスケールでの大量合成を可能とした。3-アシルカテキン類においては、3-アシルエピカテキン類よりも3-アシルカテキン類の活性が高く、脂肪酸鎖長が長くなるにつれてDNAポリメラーゼ阻害活性が向上する傾向が見られた。また、同一鎖長においては、飽和よりも不飽和度の高い不飽和脂肪酸に高い活性が見られた。次に、カテキンとエピカテキンの組み合わせからなる4量体と5量体のオリゴマーを合成し、DNAポリメラーゼ阻害活性を行った。単量体や二量体に比べ、オリゴマーが長い四量体や五量体になるにつれてDNAポリメラーゼ阻害活性が向上することを確認した。さらにカテキンの代謝産物に興味を抱き、腸内細菌の代謝産物の一つであるg-ブチロラクトン類の合成を行なった。現在、そのDNAポリメラーゼ阻害活性をカテキン類と比較検討中である。
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