乳癌に罹患するリスクは年齢と共に増加して、九十歳の女性の場合、その年齢までに乳癌に羅患した人の比率は12.5%であり8人に1人は罹患していることになる。これは女性の癌の中では胃癌を越え、現在は1位である。固形癌の代表である乳癌も例外ではなく低酸素応答転写因子である田F-1αの機能もって血管籍生を行い低酸素の状態でも増殖している。したがって、HIF-1αの機能を制御できれば選択性の高い分子標的乳癌治療薬が誕生できる。さらに、最近は癌にかぎらず、高齢化に伴い増加の傾向である、心疾患、脳血管疾患も低酸素状態が原因で起こる疾患で、これらの疾患もHIF-1α機能抑制剤を利用して治療することが期待できる、このようなことからいわき周辺の土壌から3種類の特殊な分離培地を絹いて糸状菌(107種類)を分離した。分離された糸状菌のうち稀少糸状菌と思われるIMU-0051をはじめとする21株を選択し、米をベースとした生産培地(ルー瓶5個)を用いて20日間、25℃で精置培養を行った。生産培地で培養されたIMU-0051をはじめとする21株は酢酸エチルによって溶媒抽出され、その後、液液分配chromatography及びsilicagelカラムchromatographyを行ってライブラリを構築した。 これらのライブラリをHIF-1αアッセイ系(低酸素時の癌細胞内のHIF-1αの蓄積した量をWestern法で測定)でスクリーニングを行った。その結果、HIF-1αの蓄積を強く制御する活性を示す部分精製画分をIMU-0051及びIMU-0089株(格2画分)から見出した。これらの画分は低酸素状態のHIF-1αの蓄積を強く抑制し、DFOなどのキレイトが作り出す人工的な低酸素状態では弱い活性を示すことから選択性の高いことが示唆された。今後、その活性画分についてはさらに精製分離を行い、構造を明らかにする。また、作用機序を明らかにし、実験動物を用いたアッセイ系にてin vivoでの作用を検討する。
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