研究概要 |
(1)化学合成: Galloy1基を3つ有するTGBA誘導体とgalloy1基の水酸基をメチル化したTGBA (OMe)誘導体を合成した。3,4,5-triacetoxybenzoyl chlorideあるいは3,4,5-trimethoxybenzoyl chlorideと各種triaminobenzeneをCH_2Cl_2中、触媒としてTEA存在下で反応させ、中間体あるいはTGBA (OMe)誘導体を得た。中間体は更にMeOH中、HCI存在下で脱アセチル化を行い、3種のTGBA誘導体(123-,124-,135-TGBA)および3種のTGBA(OMe)を得た。 (2)Topoisomerase I阻害活性: TGBAおよびTGBA (OMe)誘導体のcalf thymus gland由来のTopo I (CA-Topo I)およびhuman placenta由来のTopo I (HU-Topo I)に対する阻害作用を検討した。CA-Topo Iに対する阻害は、9個の水酸基を持つ3種のTGBA誘導体全てにおいてCamptothecinの約5倍も強い阻害を示したが、水酸基をメチル化したTGBA (OMe)誘導体に阻害は全く認められなかった。HU-Topo Iに対して、TGBA誘導体はCamptothecinと同程度から2倍程の阻害を示した。 (3)Topoisomerase II阻害活性: HU-Topo IIに対して、TGBA誘導体はEtoposideよりも強い阻害を示し、特に、135-TGBAは、Etoposideよりも1200倍強く阻害した。TGBA (OMe)誘導体に阻害は認められず、Topo IおよびTopo IIの阻害に水酸基が重要であると考えられた。また、galloyl基の付加位置によっても阻害活性が変化することが明らかとなった。
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