研究課題
脳神経変性疾患治療薬のリード化合物となりうるものを見出すために、我々は脂溶性リガンドの中で特にビタミンKに着目して研究を行った。ビタミンK同族体はビタミンK_1(フィロキノン)とメナキノン類(MK-n)に分類される。そのひとつであるメナキノン-4(MK-4)は生体内のあらゆる組織に存在し、特に脳内に高濃度に存在していることが解明されているが、その詳しい役割は未だ明らかにされていない。しかし、脳神経細胞を用いた実験では、酸化ストレスからの保護作用や神経突起の伸長を促進する作用などを有することが我々や他のグループの実験から明らかにされており、脳内で何らかの重要な役割を果たしていると考えられる。また、MK-4は生体の各組織内で生合成されて蓄積することが我々の実験により確かめられており、MK-4の生合成反応は脳神経変性疾患治療薬を開発する上で重要なターゲットのひとつになると考えられる。そこでまず、脳神経変性疾患の治療薬となりうるリード化合物を創製していく一助として、コンビナトリアルケミストリーの要領を応用して様々なビタミンK誘導体を合成し、MK-4の生合成反応の基質になり易い誘導体を検討した。今回は、ビタミンKの側鎖部分が生理的に重要であると考えられるため、側鎖部分を以下のように系統的に変えた化合物を合成して細胞に添加し、MK-4への変換率を調べた。その結果、側鎖の繰り返し単位や2重結合の数が重要であることが明らかとなった。現在我々は、これら誘導体の大脳由来神経幹細胞に対する神経細胞(ニューロン)への分化誘導作用を調べ、MK-4への変換との関係を検討している。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (10件) 図書 (1件)
Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 19
ページ: 1054-1057
Bioorganic & Medicinal Chemistry 17
ページ: 4296-4301