研究概要 |
新規有機合成反応の開発を追及し、官能基特異的な化合物ライブラリーを構築し、創薬のシード化合物を見出すことを目的とする。化合物としては活性型カルポニル化合物の新規合成法の開発とそれらの薬理活性物質探索研究を行う。本研究で対象とする活性型カルポニル化合物としては、α位にフッ素、水酸基、ケトン基あるいは二重結合を有するカルボニル化合物、すなわちトリフルオロメチルケトン、ジフルオロメチルケトン、α-ヒドロキシケトン、α-ジケトンおよびα,β-不飽和ケトンである。 (1) 4-Trifluoroacetyl-1, 3-oxazolium-5-olatesの分子変換反応によるトリフルオロメチルケトン基を有する複素環化合物の合成を目的として、リンイリドとの反応を詳細に検討した。目的のトリフルオロメチルケトン類は得られなかったが、3-トリフルオロメチルピロール類が好収率で生成した。(西條ら、論文受理)。本反応は、入手容易な原料からこれまで合成困難な3-trifluoromethylpyrrole類の簡便な合成法を提供している。 (2) 強力な抗ヘリコバクターピロリ活性を示す1-(2-benzoxazolyl)-3, 3, 3-trifluoro-2-propanoneのベンゼン部位に種々の置換基(フッ素、クロロ、メトキシル、メチル、シアノ基)を導入した誘導体を合成し、それらの抗菌作用を検討し、緑膿菌などの薬剤耐性病原菌の抗菌薬として期待されるクオラムセンシング(QS)阻害活性を示す化合物を見出した。 (3) クロロジフルオロアセチル基の新しい導入反応を見出しているので、クロロジフルオロメチル基上のクロルを変換する反応の開発を行い、ジフルオロメチルケトン類の新規構築法を確立する目的で、クロル基を他の官能基に変換する反応を検討したが、不満足な結果であったが、有機亜鉛化学を基盤とする反応により目的とする変換反応が達成できた。
|