核内受容体LXR(liver X receptor)はコレステロール輸送・異化に関わる遺伝子発現を制御し、アゴニストは抗動脈硬化性リポタンパクHDL上昇薬の有力候補である。しかしながらlipogenesis促進によるトリグリセリド上昇を招くことから、細胞組織選択的あるいは遺伝子選択的に機能を発揮するリガンドの開発が期待されている。私達はLXR/RXRを選択的に活性化し細胞選択性を発揮するリガンド(モジュレーター)を複数同定しており、本研究では選択性を発揮するメカニズムの解明を行う。 昨年度の研究で、LXRαアゴニスト/LXRβアンタゴニストのユニークな特性を示すRiccardin Cが、LXREαを選択的に活性化する機構に関して、LXRαのヘリックス3-7領域にRiccardin Cによる活性化に必要な構造要因が存在することを見いだした。この領域においてLXRβと異なるLXRαのアミノ酸をLXRβ型に転換した変異体を17種類作成し、Riccardin Cによる活性化を検討したところ、変異により活性が約1/3に低下するアミノ酸を見いだした。この変異受容体は、LXRαとLXRβのどちらも活性化する合成アゴニストT0901317や生理リガンドである22(R)-hydroxylcholesterolに対しては、野生型と同程度の活性を示した。したがって、RiccardinCがLXRαを選択的に活性する上で重要なアミノ酸であると考えられる。
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