研究概要 |
真菌のモデル生物である出芽酵母を用いて、汎用消毒剤である逆性石けん(塩化ベンザルコニウム)に対する感受性を左右する因子のスクリーニングを行った。出芽酵母では、ゲノム上の全遺伝子約5000個について、それぞれの遺伝子をノックアウトした遺伝子ノックアウト酵母株ライブラリーが利用可能である(致死となる遺伝子は除く)。そこで、欠損により酵母の塩化ベンザルコニウム感受性が変化する遺伝子を検索する目的で、出芽酵母株の酵母遺伝子欠損株ライブラリーを用いて塩化ベンザルコニウム感受性スクリーニングを行った。方法は、培地に塩化ベンザルコニウム(3×104%,4×104%)を添加した条件で、各遺伝子の欠損株ごとに96穴プレートを用いて培養を行い、コントロールである出芽酵母野生株よりも早い増殖を示すものを耐性株、野生株よりも増殖が遅いものを感受性株とした。現在までに、約1500株についてスクリーニングを終え、候補となる遺伝子欠損株を、耐性株については46株、感受性株については227株を得た。一方、今回のスクリーニングでは、操作ごとに菌量にぶれが出てしまっている可能性や、そもそも遺伝子欠損により細胞増殖が非常に遅くなっている欠損株も含まれていることが考えられるため、得られた薬剤感受性候補欠損株については再度、薬剤感受性を確認する必要があると考えられる。
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