研究課題
本研究は、近年環境汚染が懸念されはじめた医薬品に関して、環境因子による変動、環境動態、リスク評価を調査することを目的としている。微量でも生理活性が強い医薬品は環境中での動態が調べられていない。そのため、環境中における代謝分解などの受けやすさ、代謝分解物の毒性変動などは不明である。本研究では、化学物質の分解代謝にかかわると考えられる環境因子として、太陽光、微生物、土壌成分などによる影響を検討している。本年度昨年度に引き続き、環境因子として紫外線の影響を調べた。紫外線として302nm,254nmの波長を用いて、アセトアミノフェン、カルバマゼピン、フェニトイン、ジクロフェナック、アマンタジン等の医薬品水溶液の分解を調べた。その結果、各波長で分解されるもの、分解を受けないもとと違いが見いだされた。特に、ジクロフェナックは両波長で短時間で分解され、多くの分解生成物が産生していることをみいだした。また、分解時間、分解生成物の数も医薬品により相違した。発光性微生物を用いるMicrotox試験で各医薬品および紫外線照射後の毒性発現を調べたところ、アセトアミノフェン、フェニトインなどで毒性の増強がみられた。本年度は、これら紫外線によって生成する物質同定を行い、フェニトインからべンゾフェノンが先制していることを見出した。ベンゾフェノンは毒性が高く、この生成が毒性増加の一因と考えられる。次年度は、さらなる光生成物の同定と、環境中での検出も行う予定である。
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