研究概要 |
本研究は、近年環境汚染が懸念されはじめた医薬品に関して、環境因子による変動、環境動態、リスク評価を調査することを目的としている。 微量でも生理活性が強い医薬品は環境中での動態が調べられていない。そのため、環境中における代謝分解などの受けやすさ、代謝分解物の毒性変動などは不明である。本研究では、化学物質の分解代謝にかかわると考えられる環境因子として、太陽光、微生物、土壌成分などによる影響を検討している。環境因子として紫外線の影響を調べている。紫外線として地上に届くUVA, UVB、そして下水処理後の殺菌用に使用されているUVCの波長で起きる医薬品類の分解とそれに伴って生成する分解物の毒性について調べた。本年度は医薬品を増やしアセトアミノフェン、カルバマゼピン、フェニトイン、ジクロフェナック、アマンタジンの他、ファモチジン、スルファメタゾール、アンチピリン、レボフロキサシン等の医薬品水溶液の分解を調べた。その結果、UVA, B, Cで分解されるもの、分解を受けないものがあり、異なることが明らかとなった。また、分解時間、分解生成物の数も医薬品により相違した。発光性微生物を用いるMicrotox試験で各医薬品および紫外線照射後の毒性発現を調べたところ、多くの医薬品で毒性の増強、発現が認められた。また、変異原性発現をAmes試験で調べれているが、まだ発現が認められた医薬品はない。今後、医薬品類を増やし検証していく必要があると考えられる。
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