研究課題/領域番号 |
20590124
|
研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
和田 啓爾 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (40158689)
|
研究分担者 |
吉村 昭毅 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (60220737)
小林 大祐 北海道医療大学, 薬学部, 講師 (30405667)
|
キーワード | 自然毒食中毒 / 毒性評価 / 配糖体 / 食品加工 / 銀杏中毒 |
研究概要 |
平成21年度までの研究により、MPN配糖体投与後のラットと銀杏中毒患者の血中からMPNならびにMPNの代謝物が検出され、生体内ではMPN配糖体からMPNが生成することが明らかとなった。平成22年度の成果を以下に示す。 1)MPN配糖体経口投与(1mg/kg)後のラット尿中にMPN配糖体が排泄され、投与されたMPN配糖体の約30%がMPN配糖体として吸収されそのまま排泄されることが明らかとなった。 2)MPN配糖体を経口投与後のラットにおけるMPN代謝物の排泄率は、MPN投与後のMPN代謝物の排泄率の50%程度であり、MPN配糖体投与後にMPNに変換された割合は、MPN投与後に吸収された割合の約半分であると推測された。 3)MPNによる痙攣を引き起こし易いマウスを用いて、MPN配糖体とMPNの痙攣誘発作用を比較した。MPN配糖体は、MPNよりも毒性が低く、毒性が現れるまでに時間がかかることから、MPN配糖体は生体内でMPNに変換されて毒性を示すと考えられた。 4)小腸粘膜においてMPN配糖体からMPNが生成するか、MPN配糖体が小腸粘膜を透過するかを同時に検討するために、平成21年度に購入したチャンバーシステムを用いた検討を行った。MPN配糖体の一部が小腸粘膜においてMPNに変換されること、また残りの一部はそのままの形で小腸粘膜を透過することが明らかとなった。 本研究により、銀杏に多く含まれているMPN配糖体は小腸で一部がMPNに変換され、銀杏中毒を引き起こしていると考えられ、小腸におけるMPN配糖体からMPNへの変換が銀杏中毒の発症の個体差原因と成り得ることが明らかとなった。
|