ブタ(幼若期)精巣に11β-HSD type1のみならずtype2も多量に存在しLeydig細胞内のcortisol→cortisone(不活性化)の反応に関与していることを詳細に検討する目的で、mRNAレベルをPT-PCRおよびreal-time PCR法、およびそれらアイソザイムのタンパク質レベルをWestern blotting法のそれぞれを利用して定性および定量を行った。さらに精巣組織切片を作成し、それらアイソザイムの免疫組織化学的染色を行い、それぞれの組織内分布あるいは細胞内局在性を検討した。その結果、ヒトに近縁な高等動物の実験材料として用いたブタ精巣Leydig細胞には11β-HSD type2が多量に存在しており、Leydig細胞内のcortisol→cortisone(不活性化)の反応に充分関与していることが明らかとなった。ミクロソームレベルでtype1および2の11β-HSD活性の反応速度論的解析を行なった結果、精巣由来の11β-HSD type2は腎臓に発現しているtype2と基質親和性や補酵素親和性・特異性などのkineticsが良く類似するが、精巣由来のtype1は肝臓由来のtype1とそのkineticsにおいて相違が認められることが明らかになった。従って、精巣には肝臓由来の酵素とは異なるtype1が存在する可能性が考えられ、ブタ精巣から新規type1cDNAのクローニングを行なった。その結果、既存のtype 1と塩基配列レベルで15箇所、タンパク質レベルで8箇所の相違があるクローンを得た。
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