研究概要 |
CBDのヒトCYPによる代謝:CBDはヒト肝ミクロソーム(HLMs)によりアリル位(6α、6β、7位)及びペンチル側鎖(1"~5"位)において酸化的代謝を受けた。16種のHLMsの結果から、低基質濃度(6.4μM)では主に6α水酸化体が最も主要な代謝物であったが、高基質濃度(64μM)では7位水酸化体が主要代謝物となる傾向が見られた。また、CYP選択的阻害剤を用いた検討から、ケトコナゾール(CYP3A)により、6α及び6β水酸化体、α-ナフトフラボン(CYPIA)により1"-水酸化体の生成が顕著に阻害された。カンナビノイドによるCYPの阻害:ヒトCYP1A1発現系におけるエトキシレゾルフィンO-脱エチル化(EROD)活性に対して主要カンナビノイドは強い阻害作用を示した。Ki値(μM)は4.78(△^9-THC)、0.155(CBD)、0.541(CBN)であった。また、CYP1A2発現系を用いた場合、Ki値(μM)は7.54(△^9-THC)、2.69(CBD)、0,079(CBN)であった。CBNのCYP1A2に対する阻害作用は、これまでカンナビノイドについて報告されているCYPに対する阻害作用では最も強いものである。CYP1B1発現系では2.47(△^9-THc)、3.63(CBD)、0.148(CBN)であった。また、HLMsにおけるEROD活性に対するKi(μM)は4.72(△^9-THC)、1.75(CBD)、0.081(CBN)であった。組み換えヒトCYP2A6発現系におけるクマリン7位水酸化活性に対しても、主要カンナビノイドは非競合型の阻害を示し、Ki(μM)は28.9(△^9-THC)、50.0(CBD)、39.8(CBN)であった。同様にCYP2D6発現系においては、主要カンナビノイドは混合型及び競合型の阻害を示し、IC50(μM)は40.9(△^9-THC)、16.0(CBD)、24.0(CBN)であった。ヒトCYP3A発現系を用いた検討においては、3種のカンナビノイドの中でCBDが最も強い阻害作用を示し、Ki値(μM)は0,912(CYP3A4)、0.117(CYP3A5)、13.1(CYP3A7)であった。
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