CBDのヒトCYPによる代謝:ヒト肝ミクロソーム(HLMs)におけるCBDの6α-及び6β-水酸化反応にはCYP3A4が、7-位水酸化反応にはCYP2C19がそれぞれ主に関与することを、CYP選択的阻害剤、ヒトCYP発現系及び16種HLMsにおけるCYP特異的酵素活性との相関などの実験結果から明らかにした。CYPの阻害:主要カンナビノイドによるCYPの阻害機構には、直接的なものと共に代謝依存的なものも存在することを明らかにした。また。CBDによるCYP2D6の阻害にはCBDの構造の中で2個のフェノール性水酸基が特に重要であることを明らかにした。CYPの誘導:主要カンナビノイドの中でCBDがCYP1A1mRNAの発現を強く誘導することを培養細胞(HepG2)を用い明らかにした。また、この誘導はAh受容体を介して行われることを示唆した。その他の酵素阻害:カンナビノイドの中にシクロオキシゲナーゼ(COX)及びリポキシゲナーゼ(LOX)の阻害作用を有する化合物を見出した。特にカンナビジオール酸はCOX-2の、CBDジメチルエーテルは15-LOXの選択的かつ強力な阻害剤であることを明らかした。これらの結果は、主要カンナビノイドと薬毒物や内因性化合物との代謝的相互作用を考える上で、意義ある基礎データである。また、カンナビノイドのよるCOXやLOXの阻害作用は、阻害の強い化合物を基礎として、これらの酵素を介した生体反応の調節、関連した疾患や疾病の機構を解明することに寄与する有益な化合物の創製にも寄与することが期待される。
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