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2009 年度 実績報告書

特異な脂肪酸による神経細胞のプログラム細胞死に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 20590132
研究機関国立医薬品食品衛生研究所

研究代表者

近藤 一成  国立医薬品食品衛生研究所, 代謝生化学部, 主任研究官 (40270623)

キーワードアポトーシス / 共役トリエン脂肪酸 / AIF / PARP / ERK / MEK / スギヒラタケ
研究概要

共役トリエン脂肪酸(eleostearic acid, ESA)のアポトーシス誘導メカニズムについて,これまでの研究から,ESAはカスパーゼ非依存性のアポトーシス性細胞死を誘導すること,AIFが細胞死に重要であること,このタイプの細胞死には必修とされるPARP-1分子の活性化が見られないことを明らかにしてきた。そこで,今回は,さらにESAによる細胞死のメカニズムを解明するために,Bcl-2,Bcl-X_Lの過剰発現やMEKやPARP-1のsiRNAによるノックダウン実験を行った。その結果,培養神経細胞PC12細胞にBcl-2,Bcl-X_Lを過剰発現させてもESAによる神経細胞死は抑制されないこと,同様にPARP-1の阻害剤およびsiRNAによるノックダウンでもESAによる神経細胞死(PC12細胞)は抑制されないが,MEKの阻害剤およびsiRNAによるノックダウンではESAによる細胞死を抑制されることが分かった。これまで,カスパーゼ非依存性のアポトーシス性細胞死ではDNAアルキル化剤MNNGのようにDNAに損傷を与え,それが刺激となってPARP-1が活性化され,次にAIFがミトコンドリアから核内に移行して細胞死を誘導すると考えられてきた。しかしながら,ESAによる細胞死ではPARP-1はウェスタンブロットによる解析で活性化された結果の切断型が検出されず,上記の実験結果と合わせてPARP-1も非依存性である,新規の経路で細胞死が進行していることが強く示唆された。MEKの阻害で細胞死が止まることから,MEKを経る経路が重要であることが分かったが,MEK-ERKの下流のシグナルは現在まで特定できていない。今後,検討すべきところである。一方,MEKの他にESAによる細胞死を完全に抑制するものにトコフェロールがある。活性酸素生成などについても詳細に検討したところ,これは,ESA刺激により細胞に,特にミトコンドリアにおいてスーパーオキシドの生成が刺激後4-6時間程度で認められ,トコフェロールがこれを消去できると考えられた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] アポトーシスの分析法2010

    • 著者名/発表者名
      近藤一成
    • 雑誌名

      ぶんせき 423

      ページ: 139-144

  • [雑誌論文] Poly(ADP-ribose)Polymerise(PARP)-1-independent Apoptosis-inducing Factor(AIF)Release and Cell Death Are Induced by Eleostearic Acid and Blocked by alpha-Tocopkerol and MEK Inhibition2010

    • 著者名/発表者名
      Kondo K, Obitsu S, Ohta S, Matsunami K, Otsuka H, Teshima R
    • 雑誌名

      J.Biol.Chem. 285

      ページ: 13079-13091

    • 査読あり
  • [学会発表] ERK1/2 is a critical for PARP-1-independent neuronal cell death2010

    • 著者名/発表者名
      近藤一成, 小櫃冴未, 手島玲子
    • 学会等名
      Keystone Symposia(Cell death pathways)
    • 発表場所
      カナダ, バンクーバー
    • 年月日
      2010-03-14
  • [学会発表] PARP-1と Caspase の活性化を伴わない, AIFの核移行を介した神経細胞死2009

    • 著者名/発表者名
      小櫃冴未, 近藤一成, 手島玲子
    • 学会等名
      第32回日本分子生物学会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2009-12-12
  • [学会発表] 共役型トリエン, テトラエン脂肪酸によるカスパーゼ非依存性の神経細胞死2009

    • 著者名/発表者名
      近藤一成, 小櫃冴未, 太田小夜香, 手島玲子
    • 学会等名
      第82回日本生化学学会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2009-10-23

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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