研究概要 |
近年,生活習慣病としてのメタボリックシンドロームの1病態として非アルコール性脂肪肝(NASH)が注目されている.特に、脂肪肝炎の病態解明と治療法の確立が急務である.申請者らは,脂肪肝炎の病態では注目されていなかったNADPHオキシダーゼ(NOX)複合体由来の活性酸素種(ROS)が脂肪肝炎を進展させる可能性があることを報告した.そこで,本研究では,肝臓への脂肪蓄積時のROS産生に対するNOX複合体の役割を明らかにすると共に,NOX阻害剤による脂肪肝炎の治療の可能性を検討することとした. マウスに脂肪肝炎を誘導する高脂肪・高コレステロール食にNOX阻害剤を混合し,その効果を検討している.開始後,24週後に一部のマウスを屠殺し,臓器を回収した.現在,組織像をヘマトキシリン-エオジン染色,およびアザン染色により評価している最中である.今後は,採取した血液サンプルを用いて肝障害マーカー,脂質,酸化ストレスマーカー,炎症性サイトカインの測定を行うとともに,肝臓での脂肪化・炎症・線維形成関連遺伝子の発現レベル,肝臓内脂肪含量(トリグリセリド・コレステロール・遊離脂肪酸),ならびに肝臓内酸化ストレス(TBARS,プロテインカルボニル等)も評価する予定である. また,LPSを暴露させ活性化させたRAW264.7細胞にNOX阻害剤を処置し,マクロファージ活性化の指標であるTNF-α発現量(mRNAレベル-リアルタイムPCR法),TNF-α産生量(培養上清中-ELISA法),一酸化窒素(NO)産生量(培養上清中)を測定している最中である.
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