研究概要 |
培養腎上皮細胞LLC-PK_1の[^<14>C] tetraethylammonium(TEA)輸送に及ぼす高グルコース(Glc)の影響を解析した。多孔性フィルター上に単層培養した細胞にL-buthionine sulfoximine (BSO; 50μM)を24時間曝露後、5.5mM, 25mM及び40mMのD-Glc(各々NG, HG25, HG40)及びBSO (50μM)で72時間処理した。抗酸化剤添加群は、BSO(50μM)および抗酸化剤(N-Acetyl-L-Cysteine; NAC又はTrolox)で24時間培養後、種々濃度のD-GlcとBSO及び抗酸化剤の存在下72時間培養後、[^<14>C]TEA(5μM)及び[3H]Mannitol(5μM)の側底膜側からの60分間の蓄積量を測定した。 NG,HG25,HG40+BSOの条件下、多孔性フィルター上に培養したLLC-PK_1細胞における[^<14>C]TEA蓄積量はグルコース濃度依存的に増加し、BSO+HG40群ではBSO+NG群に比較して、約140%まで増加した。NAC(2.5mM)を添加したところ、[^<14>C]TEA蓄積はBSO+NG+NAC及びBSO+HG40+NAC群共にBSO+HG40群と同レベルまで上昇した。BSO+HG40群で認められた[^<14>C]TEA蓄積量の増加はTrolox共存により消失した。脂質過酸化マーカーのmalondialdehydeの細胞内含有量はBSO+HG40群で増加していたが、Trolox併用の場合は消失し、[^<14>C]TEA蓄積量の変動と対応していた。pOCT2mRNA発現量は、BSO+HG40群ではBSO+NG群に比べ増加傾向にあったが、Trolox併用時に増加傾向は認められなかった。以上より、脂質過酸化に関連する酸化ストレスがOCT2の発現量に変動を及ぼすことが示唆された。
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