本年度は、標的臓器における医薬品のPK/PD理論に基づいた治療最適化ソフトの構築と臨床応用をさらに進める目的で以下のとおり実施した。 1. リアルタイムTDMシステムの構築 研究協力施設において、血液および生体試料を採取するシステムを構築し、薬物濃度測定および解析結果をE-mailにて送付する報告体制を強化し、多施設問でのTDMシステムを確立した。 2. PK/PDデータ収集 PKデータ収集:血液中および体液中(人工透析液、脳脊髄液、腹水、胆汁、等)の薬物濃度測定は、HPLCおよびFPIAにて行った。 PDデータ収集:医薬品の臨床効果を評価できるPDデータ(臨床分離菌のMIC分布等)は、研究協力施設・診療科から入手した。 各施設で、本研究に対して倫理委員会の承認を得た研究を継続し、各種症例数10~20症例のPKデータを統計的に処理し、各薬剤のPPKを確定した。PPKの算出方法には、STS法とNONMEM法を用い、患者の年齢(小児、成人、高齢者)、病態別(腎機能正常者、腎機能障害患者)に評価した。 3. PK/PD研究用コンピュータソフトの開発 患者個々のPKデータを収集し、PPKを推定するためのPKとPK/PD解析用プログラムを作成した。また、パーソナルコンピュータを用い、PK/PD解析アルゴリズムを搭載したマクロ・プログラムを作成し、Excelファイル上で稼動するコンピュータソフトを構築した。PK/PDパラメータの予測は、モンテカルロ・シミュレーション法にて各治療方法の臓器別の目標達成確率を算出することで、想定しうる最適な治療法方を提言できるPK/PD解析用プログラムを作成した。
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