研究概要 |
漢方薬の薬理作用の違いを明確にするために、各種生理活性ペプチドを指標とした薬効解析を行うことは有用である。そこで、腹部微小循環改善作用の指標としてのVIP,CGRP,SP、胃や腸の運動障害改善の指標としてのMotilin, Gastrin, Somatostatin、分泌障害改善の指標としてのSecretin, CCK、ストレスの指標としてのACTH,β-Endorphin, cortisolの高感度Enzyme Immunoassay(EIA)の確立を行った。これら体液中ペプチド濃度はきわめて微量であるため、高感度のみならず特異性の高い定量法の確立が必要であるが、EIAに使用する酵素標識抗原は、不安定であることが多い。そこで、平成20年度の研究期間には、既存の測定法で使用していた抗原。抗体の見直しを行うことでより特異的で高感度な測定法を開発した。 さらに、便秘症の適応がある大黄甘草湯の作用メカニズムを明らかにするために、上記ペプチド濃度との関連性を検討した。大黄甘草湯は、ダイオウならびにカンゾウが、2対1の割合で含有している漢方製剤である。今回の検討結果では、統計学的に有意な差が認められなかったため、次年度(平成21年度)に再度確認を行い、消化器症状の評価にはこれらペプチドが有用であることを評価行うこととしている。また、甘草湯ならびに芍薬甘草湯といった、大黄甘草湯と同様に、カンゾウがべースとなっている方剤の検討も計画をしている。
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