【内容】腎移植後患者30例(ステロイド服用患者24名とステロイド離脱後患者6名)でコルチゾールのリンパ球感受性を求めた。同時に服用ステロイド剤、および服用カルシニューリン阻害剤(CNI)のリンパ球感受性も求めた。リンパ球感受性はリンパ球増殖を50%抑制する薬剤濃度(IC_<50>)として求め、IC_<50>と離脱・減量前後における腎機能(S-Cr、BUN、蛋白尿)の変化と離脱症状およびステロイド離脱・減量後の再開・増量の有無などの臨床経過との関係をレトロスペクティブに調査した。その結果、コルチゾールのIC_<50><10000ng/mLの高感受性患者では、ステロイド減量・離脱によるS-Crの上昇が19例中1例に認められなかったのに対し、IC_<50>≧10000ng/mLの低感受性患者では11例中6例に認められ、S-Crの上昇する割合が有意に高かった(P<0.001)。またステロイド離脱症状の発症率もコルチゾール低感受性患者で有意に高かった(P<0.01)。さらにS-Crの上昇または離脱症状のためステロイドを増量・再開した患者の割合もコルチゾール低感受性愚者で有意に高かった(P<0.005)。血清コルチゾール濃度は1例を除いてすべて正常値まで回復していた。服用ステロイド剤のIC_<50>およびCNIのIC_<50>とステロイド減量・離脱の臨床経過との関係は有意な関係が認められなかった。 【意義・重要性】コルチゾール高感受性患者は安全にステロイドが減量・離脱されていたが、コルチゾール低感受性患者は、ステロイド減量・離脱後に回復した内因性コルチゾールの免疫抑制効果の不足により、腎機能が低下しやすくなると考えられる。コルチゾール感受性を調べることは、ステロイド減量・離脱可能患者の判別に有用であり、ステロイドを安全に減量・離脱するための一つの指標になり得ると考えらる。
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