研究概要 |
hPCFTの5つのdeletion reporter constructs(-1695/+96,-1036/+96,-526/+96,-243/+96,-24/+96)をCaco-2細胞に導入し転写活性を測定したところ、-243から-25の領域を削った-24/+96のコンストラクトにおいて大幅な転写活性の減少が観察され、-243から-25の領域が転写応答領域であることが示唆された。続いて転写因子結合部位の予測プログラムtransfacを用いて、hPCFTのプロモーター領域を分析したところ、-243/-25の領域中の-57/45の部分に転写因子HNF4α(hepatocyte nuclear factor4α)の結合部位が存在することが示唆された。HNF4αは、小腸において種々の遺伝子の発現制御に関与していることが報告されている。そこで-57/-45のHNF4α結合部位に変異を導入した結果、wild-typeと比較して大幅な転写活性の減少が確認された。このことから、hPCFTの転写制御には、-57/-45に存在するHNF4α結合部位の配列が重要であり、また転写因子HNF4αが関与している可能性が示唆された。次にHEK293細胞にhPCFT (-1036/+96)とHNF4αを一過性に共発現させたところ、HNF4αにより有意に転写活性が増加した。これまでの結果から、HNF4αがhPCFTの主要な転写活性化因子であることが明らかとなった。HNF類と共に働くことが報告されている転写因子、GATA4、C/EBPα(CCAAT enhancer binding protein α)をHNF4αと共発現させ、hPCFTの転写活性の変化を検討したところ、hPCFTと分布の類似するGATA4がHNF4αによるhPCFTの転写活性を有意に増大させることが明らかとなった。 以上の結果から、HNF4αがhPCFTの主要な転写活性化因子であり、さらにGATA4、PGC1αが転写活性化の促進因子、C/EBPαが抑制因子となっていることが示唆された。
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