研究課題/領域番号 |
20590164
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
三田村 邦子 近畿大学, 薬学部, 講師 (70242526)
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研究分担者 |
池川 繁男 近畿大学, 薬学部, 教授 (90111301)
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キーワード | 胆汁酸 / グルタチオン抱合体 / N-アセチルシスティン抱合体 / LC-MS / ラット / 胆汁 / 尿 / カルボキシルエステラーゼ |
研究概要 |
胆汁酸の代謝活性中間体を経るグルタチオン(GSH)抱合体の生成と排泄機構の解明を目的として、まず、コール酸(CA)のアシルアデニレート(CA-AMP)とCoAチオエステル(CA-CoA)を基質としてラット肝におけるin vitro GSH抱合に検討を加えた。その結果、いずれの代謝活性中間体も非酵素的のみならず、グルタチオンS-トランスフェラーゼの作用を受けてGSH抱合体に変換されるばかりか、CA-CoAがよりGSH抱合を受け易いことが判った。また、LC/ESI-MS/MSにより、肝機能改善薬であるウルソデオキシコール酸(UDCA)と肝毒性の知られるリトコール酸(LCA)を投与したラットの胆汁中にそれぞれのGSH抱合体が排泄されているばかりか、生理的条件下のラット胆汁中にも数種のGSH抱合型胆汁酸が排泄されることを明らかにした。一方、ヒト主要胆汁酸5種のN-アセチルシスティン(NAC)抱合体を化学合成すし、LC/ESI-MS/MSにおける特徴的イオンの生成に吟味を加えるとともに、高感度測定法を設定し、これを用いて、CA-AMPとCA-CoAがin vitroでNAC抱合体に変換されるばかりか、LCAとNACを投与した胆管結紮ラットの尿中にLCA-NACが排泄されることを示した。これらの結果は、胆汁酸の新規代謝経路の存在を示すものである。一方、NAC抱合型胆汁酸がカルボキシルエステラーゼによりNAC抱合体が加水分解され、非抱合型胆汁酸を遊離することも判った。本結果は、NAC抱合体の水溶性と併せて考慮すると、UDCA-NACが注射剤としても使用可能なUDCAのプロドラッグとなる可能性を示すものである。
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