• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

前脳形態形成におけるシグナル分子の役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20590169
研究機関京都大学

研究代表者

石橋 誠  京都大学, 医学研究科, 教授 (30232341)

研究分担者 三浦 岳  京都大学, 医学研究科, 准教授 (10324617)
キーワード脳 / 形態形成 / シグナル分子
研究概要

本研究においては、中枢神経系の中でもより複雑な構造と高次な機能を有する前脳の形態形成に着目し、その分子機構の解明を目指した。特にこの過程において重要なソニックヘッジホッグ(Shh)を中心に調べた。コンベンショナルなノックアウトマウスでは初期から腹側半分が形成されず、従ってまた重要なShhの供給源である床板も形成されないため、比較的単純な形態を有する前脳胞形成後の形の変化の仕組みを調べることができない。そこで我々は、コンディショナルノックアウトマウスを利用して、前脳胞形成以後のShh等シグナルの役割の解明を目指した。この脳胞の後半部はのちに視床を含む間脳となる。この部位においては多くの異なる機能を担う神経核が形成されるが、その運命決定機構は不明である。Shhシグナルを細胞内に伝えるSmo遺伝子のコンディショナルノックアウトマウスを作成したところ、間脳全体が低形成となった。また間脳内の領域マーカーの発現を調べたところ、いくつかについては発現が低下したり、発現境界が不明瞭になっていた(胎生12日)。これ以降、細胞死が進むため、各神経核が完成するかどうかは不明である。(2)眼原基は間脳の一部が突出してでき始める。遠位端が眼球網膜等を形成し、近位部は視神経・視索となる。また網膜中でも背腹軸等に沿った領域化が見られる。眼杯形成期において、Shhは間脳腹側正中部に発現しており、ここから分泌されたSHHタンパクが眼胞・眼杯へ到達すると考えられた。コンディショナルノックアウトマウスにおいては、近位部におけるマーカー遺伝子発現低下、眼胞腹側におけるマーカー遺伝子発現の低下とそれに続く細胞死によって、眼杯腹側部が形成されない。一方、眼胞背側部ではBmp4の発現が上昇し、発現範囲も腹側部へと拡大していた。細胞死はこのBmp4の過剰発現によるものと推測された。Bmp4発現が、腹側正中部からのShhシグナルによってどのように制御されているかは未解決の興味深い問題である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Sonic hedgehog is involved in formation of the ventral optic cup by limiting Bmp4 expression of the dorsal domain.2010

    • 著者名/発表者名
      Zhao L, Saitsu H, Sun X, Shiota k, Ishibashi M.
    • 雑誌名

      Mechanisms of Development 127

      ページ: 62-72

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The cyst-branch difference in developing chick lung results from a different morphogen diffusion coefficient.2009

    • 著者名/発表者名
      Miura T, Hartmann D, Kinboshi M, Komada M, Ishibashi M, Shiota K.
    • 雑誌名

      Mechanisms of Development 126

      ページ: 162-172

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 細胞間シグナル分子の中枢神経系発生における役割2009

    • 著者名/発表者名
      石橋誠
    • 雑誌名

      生化学 81

      ページ: 984-987

  • [学会発表] 目におけるShh シグナルの役割に関する研究2010

    • 著者名/発表者名
      趙蘭英、才津浩智、孫祥ナン、塩田浩平、石橋誠
    • 学会等名
      日本解剖学会全国学術集会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      2010-03-28
  • [学会発表] Sonic hedgehog is involved in formation of the ventral optic cup and maintenance of the dorsal optic cup in mouse embryos2009

    • 著者名/発表者名
      Makoto Ishibashi
    • 学会等名
      Mouse Genetics & Genomics : Development & Disease
    • 発表場所
      Hinxton Cambridge UK
    • 年月日
      2009-09-03
  • [学会発表] 目におけるShh シグナルの役割に関する研究2009

    • 著者名/発表者名
      趙蘭英、才津浩智、孫祥ナン、塩田浩平、石橋誠
    • 学会等名
      日本発生生物学会全国学術集会
    • 発表場所
      新潟
    • 年月日
      2009-05-30

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi