研究概要 |
I:ゼブラフィッシュの胚から成魚に至るリンパ目系の発生解剖アトラスの作成 受精後3-5週:皮下の外側皮静脈に沿って嚢胞状のリンパ内皮が並び,集合リンパ管系である外側リンパ本幹を形成,静脈角に開口し機能を開始する.fli-1トランスジェニックフィッシュと岩手医科大学共同研究部門に設置された二光子顕微鏡システムZeiss Axioskop 2 plus-LSM510META+非線形光学系NLOレーザー(Maitai)を使用して生体イメージングを行い,皮下集合リンパ管系を形成するリンパ内皮細胞の起源と発生の機序を追究した.体幹の深部に位置する胸管遠位部の生体イメージングは魚体の成長(肥厚)に伴い困難となるが,胸管が静脈角に開口し機能を開始する3週からリンパ管系への色素注入法の適用が可能となる.EGFPfli-1トランスジェニックフィッシュのリンパ管内に蛍光(赤色)ビーズを注入し共焦点顕微鏡システムを使用して血管系とリンパ管系の同時生体イメージングし.解析用コンピューターと三次元解析ソフトウエアー(Meta-Morpho)によりデータ解析,発生解剖アトラスに必要な画像を作成した.20年度と21年度で胸管と外側リンパ管の形成過程を追究し、リンパ内皮細胞が静脈内皮に由来することを明らかにした. II:リンパ内皮細胞への分化をコントロールする関連分子と分子機構の追究 ほ乳類のリンパ内皮が分化する過程でリンパ内皮に特異的に発現し、静脈内皮からリンパ管内皮への分化をコントロールする関連分子について、ゼブラフィッシュで追究した.成魚の胸管と外側リンパ管でリンパ内皮分化のマスター遺伝子とされるprox1の発現を確認した. III:メダカとオーストラリア肺魚のリンパ管系について 硬骨魚類のリンパ管系がほ乳類のリンパ管系とは本質的に異なるとする意見、あるいはリンパ管系が存在しないという意見もある.真骨魚類のメダカと肉鰭類のオーストラリア肺魚についてリンパ管系の存在を確認した.メダカについてはリンパ内皮でprox1の発現を確認し、オーストラリア肺魚についても追究中である.
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