研究概要 |
ゼブラフィッシュのリンパ管系発生解剖アトラスの作成 20,21年度に作成した受精後2日-3週、3-5週魚の画像に継いで、22年度は受精後5週魚―成魚の腹腔内に色素を注入してリンパ管内に取り込ませ、フォルマリン固定、グリセリンで透過してリンパ管系全体を可視・画像化し、2日胚から成魚に至るリンパ管系発生解剖アトラスの編纂に必要な画像データを取得した。 小型魚類のリンパ管内皮の組織化学的解析 両生類・は虫類・ほ乳類との比較を目的に、ほ乳類リンパ管内皮の特異的分子マーカー数種を用いてゼブラフィッシュとメダカ成魚リンパ管内皮の標識を試みた。静脈内皮からリンパ管内皮への分化に関わるマスター遺伝子とされるProx1の発現を実証した。さらに、四足動物へと進化した現存の硬骨魚類(肉鰭類)であるオーストラリア肺魚のリンパ管内皮の標識を試みている。脊椎動物のリンパ系の起源と静脈内皮からリンパ管内皮への特性の変遷を検証することにより、魚類を脊椎動物のリンパ系の分子遺伝学的研究の実験モデル動物として用いることに正当性を与えると考える。 アメリカ国立衛生研究所(NIH)のDr.Weinste inとの共同研究 漏出した組織間液を毛細リンパ管から吸収し、集合管を経て数カ所の静脈開口部から血液循環へと戻すことがリンパ管系の始原的な機能である.リンパ集合管である胸管の解剖学的基本構造を魚類からほ乳類へと系統発生学的に辿ると、動・静脈、神経等他構造との相対的位置関係と循環系への開口部の位置は恒常的に保持されている.胸管の解剖学的基本構造の決定過程で、リンパ管内皮前駆細胞を動脈に沿って誘導する関連分子とその分子メカニズムを初めて解明した(投稿中).
|