研究概要 |
本研究は、高分解能を有する7tesla MRI装置を用いて取得したMR画像を元に、サル大脳の正常発生過程における脳溝・脳回の形成の詳細とその左右非対称性を明らかにすることを目的とする。平成21年度は、サル胎仔大脳のMR測定と各胎齢における脳溝マップの作成を行い、以下の成果を得た。 1.MR測定:標本は、我々の過去の研究[Fukunishi,Sawada et al,Anat Embryol,2006]において採取した胎齢70,80,90,100,110,120,130,140,150日の雄各3例(合計27例)の大脳固定標本を用いた。各大脳標本を動物用7tesla MRI装置にかけ、前頭断、水平断、矢状断の連続MR画像(T1強調画像;スライス厚1.25mm)を取得した。 2.脳溝マップの作成:取得したMR画像を元に、各胎齢において脳溝を同定し、同一標本の肉眼解剖所見と比較し、これらの差異について検討した。MRI解析による脳溝の発生時期は、若干の差異があるものの、肉眼解剖所見をよく再現していた。また、肉眼解剖的に概評からの観察が難しい脳溝の発生時期(脳梁溝:胎齢70日、輪状溝:90日)についても明らかにすることができた。大脳の内部構造については、胎齢90〜100日にかけて側脳室が成熟型に変化するのと同時に、尾状核やレンズ核などの皮質下の構造も成熟型を呈することが明らかになった。
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