研究概要 |
近年申請者がSix1ノックアウトホモマウスの解析を通じて発見・同定した嗅上皮発生初期に出現するパイオニアニューロンは、末梢神経系と中枢神経系が最初につながる場、すなわち上皮の一定の場所から軸索が最初に嗅球にむかって出て行く場を提供するものである。このパイオニアニューロンへの分化を司る遺伝子ネットワークを解明するために、野生型マウスとSix1ノックアウトホモマウスの嗅上皮(鼻プラコード)からRNAを抽出し、アレイ解析を行った。有意に差がある候補遺伝子が、100種類程度見つかり、in situ hybridizationにて、野生型での発現を確認した。そのうち嗅上皮で発現するものについてはホモマウスでの発現を確認し、有意に差があるもの10数種類に絞りこみ、発生関連遺伝子数種について、該遺伝子ノックアウトマウス胚の供与を受け、解析を行った(前年度まで)。残りの発生関連遺伝子については、Raj Radher博士に手法を習い、嗅上皮組織培養系を用いて解析した。レチノイン酸依存的に発現が誘導される遺伝子群数種が、ノックアウトホモマウスで発現が有意に上昇していたため、組織培養系で再現できるかどうかについて検証したが、明確な結果は出なかった。培養細胞を用いたリポーターアッセイでは、Six1のリポーター抑制効果は検出されなかった。ニワトリ胚を用いて、鼻プラコード、Epibranchial placodeのパイオニアニューロンの同定を、chick Six1遺伝子発現により同定し、嗅上皮発生後期の、Six1遺伝子の役割を同定し、発表した(Ikeda et.al., Int J Dev Biol)。
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