研究課題/領域番号 |
20590181
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
尾形 雅君 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50311907)
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研究分担者 |
伊藤 恒敏 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90004746)
松谷 隆治 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (70372290)
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キーワード | DNA修復 / DNA断片化 / iIEL / 小腸 / 抗CD3抗体 / 免疫組織化学 / 電子顕微鏡 / in vivo |
研究概要 |
我々が先に確立している単純なin vivo実験系を用い、腸上皮細胞間リンパ球(iIEL)の活性化に伴う小腸絨毛上皮細胞のDNA断片化誘発およびDNA修復機構について解析を行なった。その結果、iIELの活性化により一旦上皮細胞にDNA断片化が誘発されるが、その核内の損傷部位にはDNA修復関連分子が迅速に集積・動員され、DNA修復が行われることを確認した。つまり細胞にDNA断片化が生じても、それは直接的に「細胞の死」を意味する訳ではなく、DNAは迅速に修復されることを明らかにした。また、抗体投与によるiIEL刺激後に観察される絨毛上皮細胞のDNA断片化誘発については、iIELがグランザイムB(GrB)を顆粒内に含有しており、iIEL活性化後に顆粒が放出されることが確認され、iIELから放出されたGrBが隣接する上皮細胞のDNA断片化誘発に関与することが示唆された。GrBの細胞傷害作用発現には、パーフォリン(Pf)との共作用が必要との報告があるため、免疫染色法で絨毛組織内でのPfの局在を調べたが、iIEL内にPFの免疫反応はみられず、これらの傷害性因子はiIEL内に共局在していないことが確認され、先のin vitro系で報告されているPf/GrB系とは異なる機構でDNA断片化が誘導されている可能性が示唆された。またこの生体内での実験系では、iIEL活性化後の標的細胞(上皮細胞)におけるDNA断片化誘導が数十分で生じるのに対し、既報のin vitro実験系ではGrBの細胞傷害性の発現には数時間を要しており作用発現時間が大きく異なる。さらに細胞傷害活性を調べる実験系においても、先のin vitro系では、E/T比が(10~50:1)で検討されているのに対し、この実験系では、iIELと上皮細胞の存在割合は(E/T=1:10)と全く逆で、これまでにin vitroで報告されている機序とは全く異なる機構でDNA断片化がおきていると推察された。
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