線毛は、線毛細胞の運動線毛とprimary ciliaに分類される。ペアの中心子(中心小体)の母中心子が基底小体として働くことにより、細胞から1本のprimary ciliaが伸長する。卵管組織と培養細胞に発現したprimary ciliaについて、電子顕微鏡的、免疫組織化学的、細胞生物学的に解析をおこなった。線維芽細胞由来のKD細胞では、細胞周期の静止期に細胞内小胞内に、微小管が伸長してprimary ciliaが形成される。静止期のKD細胞をトリプシン処理することにより、細胞を増殖サイクルに誘導して脱線毛機構について解析したところ、線毛の膜構造の変化が線毛消失の初期変化として見出され、線毛に特異的に発現している分子が線毛脱落に先立って低下し線毛構造の維持に重要な働きをしていることが示唆された。卵管では、結合組織中の筋線維芽細胞と分泌細胞に高頻度にprimary ciliaが発現していたが、これらの表面構造について解析を加えた。Primary ciliaには100以上の分子の局在が知られているが、これらたんぱく質は機能分子として作用し、形態形生や細胞内シグナル伝達に密接に関与している。Primary ciliaの機能分子であるinversinの発現動態について解析したところ、ciliaの形成とinversinの発現に時間差が見出された。Ciliaの細胞膜には裏打ち構造が存在し、細胞膜の裏打ち構造がciliaにおける機能分子の局在に密接に関与することが考えられた。
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