研究課題/領域番号 |
20590192
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
石村 和敬 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90112185)
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研究分担者 |
小野 公嗣 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (00548597)
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キーワード | 海馬 / 神経ステロイド / 免疫組織化学 / アロマターゼ / 神経細胞 / エストロゲン受容体 / 卵巣摘除 |
研究概要 |
本研究の目的は、海馬における神経ステロイドの合成とその作用機構を追求し、神経細胞そのものが産生するステロイドの生理的意義を明らかにすることである。具体的には、平成22年度はエストロゲン産生の最終段階に関わる酵素であるアロマターゼと、エストロゲンの作用部位であるエスートロゲン受容体の海馬における局在を免疫組織化学的手法により形態学的に解析し、分子生物学的手法を用いてmRNAレベル、蛋白レベルで解析した。また、前年度においてやや不確定な部分であった卵巣摘除後の変化について確認した。その結果、免疫組織化学によって、アロマターゼは海馬の神経細胞でエストロゲン受容体と共発現している所見を得ることができた。さらに、遺伝子発現解析によって、アロマターゼの海馬における発現は卵巣摘除後1週間で約17%上昇するが2週間後ではコントロールと同じレベルになることを確認した。また、卵巣摘除後からエストラジオールを投与すると、アロマターゼの1週間後の発現の上昇が低減することが明らかとなった。一方、エストロゲン受容体遺伝子の発現は、卵巣摘除後1週間で低下し2週間後も同等であったが、エストラジオール投与でコントロールレベルまで回復した。以上のことから、海馬の神経細胞で産生されるエストロゲンは神経細胞自身に発現している受容体に作用する可能性が示唆された。また、アロマターゼおよびエストロゲン受容体の発現は、末梢由来のエストロゲンによって発現調節を受けることが示唆された。特にアロマターゼの発現調節については、エストロゲン以外の発現調節因子がある可能性を示す所見を得るに至った。
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