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2010 年度 実績報告書

クローディンの組成とその変異体によるタイト結合の細胞間透過性制御の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20590193
研究機関九州大学

研究代表者

稲井 哲一朗  福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (00264044)

研究分担者 廣瀬 英司  九州大学, 医学研究院, 助教 (40380620)
キーワードtight junction / claudin / paracellular permeability / freeze fracture / confocal microscopy
研究概要

タイト結合膜蛋白claudinは27の分子種から成るファミリーを形成する。各組織の上皮・内皮細胞には複数のclaudin分子種が発現しており、それらの組み合わせと比率により、その組織のタイト結合の形態と機能が決定されると考えられている。マウス大腸癌由来のCMT93-Iおよび-II細胞は、claudin-4,-6,-7,-12を発現する。CMT93-II細胞はさらにclaudin-2を発現し、細胞間電気抵抗値(TER)はCMT93-I細胞の約7分の1であった。CMT93-II細胞におけるclaudin-2の発現は、ERK,phosphatidylinositol-3 kinase,protein kinase Cのシグナル伝達経路阻害剤で抑制され、TERは上昇した。したがって、細胞間透過性はclaudin-2の発現で亢進することがわかり、タイト結合の機能が発現するclaudinの組み合わせに依存することがわかった。また、claudinファミリー蛋白の細胞外第一ループには保存された2つのCys残基がある。claudin-1の54番目と64番目のCysの一方または両方をAlaに置換し、そのN末端にEGFPを付与したEGFP-C54A,EGFP-C64A,EGFP-C54&64Aを、タイト結合を形成しないHEK293細胞で発現して解析したところ、すべてが細胞膜へ輸送されるもののタイト結合ストランドが形成されないことがわかった。次にこれらの変異体をタイト結合を形成するMDCK II細胞で発現して解析した。EGFP-C54&64Aはタイト結合領域に局在したが、EGFP-C54AとEGFP-C64Aは側面膜に局在し、タイト結合領域には局在しなかった。TERはEGFP-C54Aで有意に上昇し、それ以外の変異体では変化がなかった。4 kDa FITC-dextranのfluxはすべての変異体で変化がなかった。MDCK II細胞に内因性に発現するclaudin-1,-2,-3,-4,-7の蛋白量は、EGFP-C54Aの発現でほとんど変化しなかった。以上の結果から、claudin-1の細胞外第一ループで保存されたシステイン残基はタイト結合ストランドの形成に必須であることがわかった。EGFP-C54AはTERを増加させるがfluxには影響しないことから、両者は別の制御を受けていると考えられる。TERの変化は、EGFP-C54Aの発現による内因性claudinsの発現の変化によるものではないことはわかったが、そのメカニズムは不明である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Subcellular localization of tektin2 in rat sperm flagellum2010

    • 著者名/発表者名
      Shimasaki S, Yamamoto E, Murayama E, Kurio H, Kaneko T, ShibataY, Inai T, Iida H
    • 雑誌名

      Zoolog Sci

      巻: 27 ページ: 755-761

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The protoplasmic or exoplasmic face association of tight junction particles cannot predict paracellular permeability or heterotypic claudin compatibility2010

    • 著者名/発表者名
      Inai T, Kamimura T, Hirose E, Iida H, Shibata Y
    • 雑誌名

      Eur J Cell Biol

      巻: 89 ページ: 547-556

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Characterization of NaV1.6-mediated Na+ currents in smooth muscle cells isolated from mouse vas deferens2010

    • 著者名/発表者名
      Zhu HL, Shibata A, Inai T, Nomura M, Shibata Y, Brock JA, Teramoto N
    • 雑誌名

      J Cell Physiol

      巻: 223 ページ: 234-243

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 最近の研究と技術 タイト結合研究の新展開2010

    • 雑誌名

      顕微鏡

      巻: 45 ページ: 190-192

  • [雑誌論文] タイト結合の形態と機能2010

    • 著者名/発表者名
      稲井哲一朗
    • 雑誌名

      福岡歯大誌

      巻: 36 ページ: 101-110

    • 査読あり
  • [学会発表] タイト結合膜蛋白claudin-10bとclaudin-15による形態と機能の解析2010

    • 著者名/発表者名
      稲井哲一朗
    • 学会等名
      第52回日本顕微鏡学会九州支部総会・学術講演会
    • 発表場所
      九州大学病院地区
    • 年月日
      2010-12-04
  • [学会発表] タイト結合の形態と機能2010

    • 著者名/発表者名
      稲井哲一朗
    • 学会等名
      日本解剖学会第66回九州支部学術集会
    • 発表場所
      福岡県歯科医師会館
    • 年月日
      2010-10-09

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公開日: 2012-07-19  

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