• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2010 年度 実績報告書

過労時の下垂体細胞変性の分子機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20590194
研究機関大阪市立大学

研究代表者

小川 登紀子  大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 特任助教 (30382229)

キーワード持続的ストレス / 疲労 / メラノトロフ / ソマトトロフ / 細胞死 / CHOP/GADD153
研究概要

過労を引き起こす持続的かつ複合的ストレス(過労ストレス)により下垂体細胞に生じる変化として、ラット過労モデルの(1)中間葉メラノトロフと(2)前葉ソマトトロフの細胞変性の分子メカニズムについて解析を行った。
(1)中間葉メラノトロフは、過労ストレスによりその分泌ホルモン、α-MSHの分泌が持続的に亢進し、やがて一部の細胞が細胞死に陥る。この細胞死のメカニズムにはC/EBP homologous protein (CHOP/GADD153)が深く関与することを明らかにした。過労ストレスを与えたCHOPノックアウトマウスの解析を行い、この分子の有無により小胞体およびゴルジ体の形態変化が強く影響を受けることを見いだした。さらにこのような細胞内小器官の形態変化は、ラットのメラノトロフに起こる細胞死の進行や回避と密接に関連するものと推察された。これらの成果は、CHOP分子の未知の機能を明らかにする端緒となるものと期待される。
(2)成長ホルモンを分泌する前葉のソマトトロフは、過労ストレスにより細胞増殖が極度に抑制されることを報告した。ソマトトロフは過労ストレスにより、視床下部からの細胞増殖刺激に対する反応性を失っていることを明らかにした。この内容については学会発表を行い、論文投稿を準備中である。
本研究を通じて、疲労ストレスによって複数の細胞種の下垂体細胞に、細胞機能の異常が生じることを明らかにした。下垂体はホルモンの分泌を介して多くの末梢器官の機能維持に関わっているが、同時に上位中枢である脳機能の変化を鋭敏に反映する。疲労ストレスが神経、内分泌および免疫系に与える影響と、それらが疲労に起因する疾患の成り立ちにどのように結びついてゆくのかを知るうえでも、下垂体細胞の機能解析が重要な意味をもつことを示した。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2011 2010 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Continious stress-induced dopamine dysfunction augmentats PAP-I and PAP-II expression in melanotrophs of the pituitary gland.2011

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Konishi, Tokiko Ogawa, et al.
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 407 ページ: 7-12

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 抑肝散は慢性的複合ストレスラットの明期自発行動量増加を抑制する2011

    • 著者名/発表者名
      小川登紀子, 他
    • 雑誌名

      日本疲労学会誌

      巻: (掲載確定)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 疲労ラット下垂体細胞の過労死とその機序2010

    • 著者名/発表者名
      小川登紀子, 他
    • 雑誌名

      日本疲労学会誌

      巻: 5 ページ: 25-29

  • [雑誌論文] Id1, Id2 and Id3 are induced in rat melanotrophs of the pituitary gland by dopamine suppression under continuous stress.2010

    • 著者名/発表者名
      Hiroyuki Konishi, Tokiko Ogawa, et al.
    • 雑誌名

      Neuroscience

      巻: 169 ページ: 1527-1534

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The increase of alpha-melanocyte-stimulating hormone in the plasma of chronic fatigue syndrome patients.2010

    • 著者名/発表者名
      Nobue Shishioh-Ikejima, Tokiko Ogawa, et al.
    • 雑誌名

      BMC Neurology

      巻: 10 ページ: 73-78

    • 査読あり
  • [学会発表] 持続的ストレスラット下垂体における細胞増殖阻害2010

    • 著者名/発表者名
      小川登紀子, 他
    • 学会等名
      日本解剖学会第86回近畿支部学術集会
    • 発表場所
      大阪府立大学(大阪府)
    • 年月日
      2010-11-27
  • [学会発表] 疲労ラットにおけるソマトトロフの増殖阻害はERK1/2のリン酸化抑制を介して起こる2010

    • 著者名/発表者名
      小川登紀子, 他
    • 学会等名
      日本疲労学会総会・学術集会
    • 発表場所
      大阪産業創造館(大阪府)
    • 年月日
      2010-06-26
  • [学会発表] 持続的ストレスラットではGHRH刺激によるソマトトロフの増殖が阻害される

    • 著者名/発表者名
      小川登紀子, 他
    • 学会等名
      第116回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 発表場所
      (震災により誌上開催)
  • [備考]

    • URL

      http://www.med.osaka-cu.ac.jp/anatomyl/

URL: 

公開日: 2012-07-19  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi